Story Seller【新潮文庫】
有名な作家7人の描き下ろし短編小説をオムニバスした本である。平成24年6月10日、二十六刷。随分売れている文庫本だというのを、読み終わる頃に初めて知った。やはり有名な作家が揃っていることで売れやすかったのか。
この本で新しい作家を発掘するのは、人によっては難易度が少し高いかもしれない。ここからもう一歩踏み出して「この人の違う本を読んでみようかな」という所まで行くには、もう少し文字数が欲しい。そんな中でも割と良かったのは(既に知っている有川浩さんは除く)、伊坂幸太郎さん「首折り男の周辺」、米澤穂信さん「玉野五十鈴の誉れ」、道尾秀介さん「光の箱」。
いきなり知らない作家に手を伸ばすのは、実際冒険である。こういうタイプの本が出てくれることは、にわか読者にはありがたいね。Story Sellerは続編も出ているようなので、いつかそちらも買おうと思う。
ニコニコ動画に投稿しています
作品の一部は、ニコニコ動画に投稿している。まさか、アマチュア楽曲(VOCALOID除く)専門のカテゴリ『ニコニコインディーズ』が出来ているとは知らなかった。いくつかリアクションを頂いている。どのような形であれ、聴き手からの反応があるのは、ありがたい。
私が昔作曲をしていた頃、MP3で曲をアップロードするのはまだまだ敷居が高かった。なので、必然的にMIDIファイルでのアップロードとなるのだが、同じ音源を持っている人でないと、意図通りに相手方で鳴らないという問題があった。
そんな制限の中でも、作曲者はそれぞれ個人でWebサイトを立ち上げて、草の根でコミュニティを広げていた。それが良かったとも悪かったとも言わない。当時のネットは絶賛発展途上であったから。
何かを表現して、それを他者に見てもらう。その敷居がここ数年でグッと下がったこと。とても良いことだと思う。
『メール・掲示板・チャット』によるコミュニティは、今『再生数・コメント・マイリスト・ランキング』に置き換わった。ひとつひとつの重さは変わったが、そこに人の反応があることは変わらない。
新曲
■眠りし深キ森
https://docs.google.com/file/d/0B5mu3EitWB5fRTZkWlBhVEtiVlk/edit?usp=sharing
2001年、SC-88ST Proにて作成。ゲーム用として作成したが、陽の目を見ることはなかった。この度ようやくネットに放流。
■ピアノ曲SS001
https://docs.google.com/file/d/0B5mu3EitWB5fY0Z6X3pMTFF1TVk/edit?usp=sharing
練習曲。
毎度、録音後の音量調整に悩まされる。フリーソフトに、マスタリング用のVSTプラグイン「W1 Limiter」(http://www.yohng.com/software/w1limit.html)があり、試しにインストールして使ってみたが、微妙。増幅してほしくないところがやたらと目立ってしまう。私の使い方が悪いのか?
作曲用PCを揃えるために10万~を使ったので、最低でも、今年いっぱいは新ソフトの購入をしない。マスタリング技術を磨くしかないかー。
録音メモ
Q.最適な録音設定って何なんだろう
・個人で楽しむ分には24bit 48KHz録音で構わない
・MP3にする分には24bit 48KHz → 16bit 48KHzに変換すればOK
・動画サイトに投稿するときは、他環境も考えると16bit 44KHzが無難
・24bit 48KHz → 16bit 44KHz変換すると、劣化するのかやけにビビりが発生する
|
\ __ /
_ (m) _ピコーン
|ミ|
/ `´ \
('A`)
ノヽノヽ
くく
A.最初から16bit 44Khzで録音すれば良い
まだ上記で決まった訳ではないけれど。3時間近くいろいろ試したら、結局16bit 44KHzで録音するのがトラブルレスであるという結果に落ち着いた。
本当は24bit 48KHzでマスターファイルを作りたいのだけど、それで他の人がまともに聴けなくなるようでは本末転倒である。ぐぬぬである。なんとか、高ビットレート・高周波数で広く一般に綺麗に聴かせる方法はないものか。
新曲
■Any
https://docs.google.com/file/d/0B5mu3EitWB5fcnE3VmJ2N2tEWG8/edit?usp=sharing
7年半ぶり作曲復活後、リハビリ習作。
Anyという単語は、肯定にも否定にも取ることができます。
どのような形にも変化することができます。
あなたには、この曲が、どう聴こえるでしょうか?
超特急便ガール!【美奈川護 メディアワークス文庫】
14日に読了。タイトルも読むペースも超特急便であった。
(良い意味で)美奈川さんがやりたい放題書いた感がある。前作では意図的に控えめにしていたのであろう、登場人物それぞれの個性が全開だ。この個性は、登場人物の遍歴に根ざすところもあり、結果それも面白さに繋がっている。
実際、以下に抜粋したようなやりとりが多くあるのがこの作品だ。電車の中では要注意である。
至極もっともな主張だが、沙織が聞く耳をもつはずがない。折り畳んだコピー用紙を無理やり押しつけながら、聞き分けのない弟を叱責するような口調で叫ぶ。
「純朴な地方青年キャラは捨てるの! 上京して男になってくるって、可愛いあの娘と別れ際に駅のホームで約束したんじゃなかったの!」
「勝手に過去を捏造しないで下さい! 大体俺、同年代の女子と話すの苦手なんです! スカートが膝上の女子は更に苦手なんです!」
「黙れチェリーボーイが! スカートの丈なんざ、脱がしちまえば関係ないんだよ! ゴチャゴチャ言わずに早くいってこいや!」
段々と本性が出てきた沙織に背中を蹴飛ばされながら、佐古田はほとんど泣くようにしてセンター街に逃げ込んでいった。嫌なら頑なに拒否すればよいものを、そういうところは意外と律儀なのだ。陶子も人のことは言えないが。
7割くらいこんな調子である。と言って全編そんなことはなく、きちんと話に一本芯もある。だから楽しいまま読み切っていける。
残念なのは、誤字脱字が非常に目立つこと。メディアワークス文庫は、編集部による校正が大分甘いのか、どの作品にも誤字がある。あとがきに「作品を出すまでについても超特急便」と書いてあることから、相当タイトなスケジュールで出版したようだ。誤字だけなら(良くないが)まだしも、完全に同音異義語になっている箇所もあった。おいおい、文章で商売してるのにそれは駄目だろう編集部。
この文庫は、ビブリア古書堂シリーズや、生贄のジレンマなどでようやく軌道にのってきた。品質向上のため、文庫編集者はもっと注意して誤字脱字の修正に取り組むべきだ。